町田心療クリニック

町田市の 心療内科,精神科,カウンセリング 町田心療クリニック

〒194-0022 東京都町田市森野1-36-10 杉井ビル7F
電話番号

 

※上記QRコードを読み取ると携帯サイトを閲覧することが出来ます。

強迫性障害

1. はじめに

「鍵をかけ忘れたのではないか」などといった強いこだわりに悩まされ、何度確かめても不安がおさまらないため、日常生活や社会生活、対人関係に支障をきたす状態のことを強迫性障害といいます。

2. 症状

中心となる症状は、強迫観念と強迫行為です。

強迫観念

強い不安や怖れを伴ったある考えやイメージが、頭にこびりついて離れなくなるのが強迫観念です。いくら追い払おうとしてもうまくいかず、繰り返し意識の中に侵入してくるため、その不合理な考えにとらわれて振り回されます。

例えば、鍵をかけ忘れたのではないか、手が汚れているのではないか、道ですれ違った人を傷つけたのではないか、自分をコントロールできず恥ずかしい行為に及ぶのではないか、気が狂うのではないか、などといった考えが頭から離れなくなります。

強迫行為

また、強迫観念を打ち消すための行動を強迫行為といいます。例えば、何度も鍵の確認をする、手を洗う、などといったことがあります。しかし、強迫行為によって不安が和らぐのは一時的であって、またすぐにこれを繰り返します。時間を無駄にしていると分かっていても、やめることが難しいのです。

具体的には、以下のような様々な症状があります。

確認強迫 : 鍵をかけ忘れたのではないか、大切なものを道に落としたのではないかという疑念やこだわりから、何度も確認します。しかし、自分の確認行為だけでは不安が解消しないため、家族に対して保証や確認行為を要求するなど、家族を巻き込むケースもあります。

不潔恐怖と強迫洗浄 : 自分や周囲が汚れていると感じ、手洗いや掃除を繰り返します。帰宅すると直ちに玄関で全て着替えたり、長時間入浴して全身を何度も洗ったりする場合もあります。また、家族を巻き込み、家族にも手洗いや着替え、入浴などを強いることがあります。

加害恐怖 : 道ですれ違った人に危害を加えたのではないか、あるいは加えるのではないか、という強迫観念です。それを確認するために、何度も振り返るとか、気になる場所まで引き返すなどの強迫行為を伴うこともあります。

強迫儀式 : 儀式を行うように、決められた順序で同じように繰り返す強迫行為です。これは、もしそうしなければ何か恐ろしいことが起こるのではないか、という強迫観念に基づいています。例えば通勤の際、決められた道順で行かなければ親が死ぬのではないか、と怖れたりします。

強迫性緩慢 : 不安を解消しようとして、日常生活の動作を納得できるまで長時間にわたり延々と繰り返すため、他者からはその動作が非常にゆっくりしているように見えます。例えば、朝の洗面や着替えに数時間かかるなどといったことがあります。

その他 : 強迫的反芻 (性的な言葉が繰り返し浮かんでくるなど)、詮索癖 (全ての言葉の意味を完全に理解できなければ本を読み進めることができないなど)、計算強迫 (物の数を数えずにはいられないなど) などがあります。

3. 治療

強迫性障害の治療には、薬物療法と精神療法・心理療法 (カウンセリング) があります。

薬によって症状はある程度改善しますが、一方ではその効果には限界もあります。薬では対人関係の問題を解決することはできません。こうした問題を解決したい場合は、カウンセリングで根気よく取り組んでいくことが必要です。

薬物療法

薬物療法の第一選択は、抗うつ薬 (SSRIなど) です。効果が十分でないときは、少量の抗精神病薬に変更することもあります。また不安が高いケースでは、抗不安薬を併用することもあります。

患者さんは薬に対して大きな期待を抱いているとか、逆に服薬することへの不安感、恐怖感を持っている場合があります。このような気持ちについても、きちんと話し合うことが大切です。

精神療法・心理療法 (カウンセリング)

強迫性障害の方は、幼いころから自然な気持ちや行動を過度に抑えるように親から躾けられて育ちます。親の期待する「いい子」であり続けるために、懸命に自己をコントロールしようとするうちに完全主義的で強迫的な性格になります。

しかし、その後の人生の中で、万能的な自己イメージが脅かされる場面に直面し、これまでのやり方では対処できなくなると、不安を解消しようとして強迫症状が生じてきます。

彼らは強迫症状をコントロールできずに密かに悩んでいても、医療機関を受診したがりません。治療者に助けを求めたり、気持ちを言葉にしたりすることは、弱くて恥ずかしいことだと思っており、彼らの尊大な自己イメージをひどく傷つけるからです。

弱音を吐けず、自分の素直な気持ちを出すと、相手を傷つけるのではないか、怒らせるのではないかと恐れます。また、これまで強く抑えてきた怒りなどを、家庭や職場で爆発させてしてしまうこともあります。

長期的なカウンセリングによって、上述したような問題への気づきを深めていきます。強迫症状そのものよりも対人関係の問題の方が、改善しやすいことが知られています。また、対人関係に結びついた強迫症状で悩むケースの方が、カウンセリングがより効果的であるように思われます。