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強迫性障害とは

「鍵をかけ忘れたのではないか」といった強い不安やこだわりに悩まされ、何度確かめても安心できないために、日常生活や人間関係に支障をきたす状態をいいます。頭の中に浮かぶ不安な考えを「強迫観念」、その不安を打ち消そうとする行動を「強迫行為」と呼びます。
症状
中心となる症状は、強迫観念と強迫行為です。強い不安や恐怖を伴うある考えやイメージが、頭にこびりついて離れなくなるのが強迫観念です。また、強迫観念を打ち消すための行動を強迫行為といいます。具体的には、以下のような様々な症状があります。
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確認強迫 鍵をかけ忘れたのではないか、大切なものを道に落としたのではないかという疑念やこだわりから、何度も確認します。しかし、自分の確認行為だけでは不安が解消しないため、家族に対して保証や確認行為を要求するなど、家族を巻き込むケースもあります。
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不潔恐怖と強迫洗浄 自分や周囲が汚れていると感じ、手洗いや掃除を繰り返します。帰宅すると直ちに玄関で全て着替えたり、長時間入浴して全身を何度も洗ったりする場合もあります。また、家族を巻き込み、家族にも手洗いや着替え、入浴などを強いることがあります。
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加害恐怖 道ですれ違った人に危害を加えたのではないか、あるいは加えるのではないか、という強迫観念です。それを確認するために、何度も振り返ったり、気になる場所まで引き返すなどの強迫行為を伴うこともあります。
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強迫儀式 儀式を行うように、決められた順序で同じように繰り返す強迫行為です。これは、もしそうしなければ何か恐ろしいことが起こるのではないか、という強迫観念に基づいています。例えば通勤の際、決められた道順で行かなければ親が死ぬのではないか、と怖れたりします。
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強迫性緩慢 不安を解消しようとして、日常生活の動作を納得できるまで長時間にわたり延々と繰り返すため、他者からはその動作が非常にゆっくりしているように見えます。例えば、朝の洗面や着替えに数時間かかるなどといったことがあります。
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その他 強迫的反芻(例:性的な言葉が繰り返し浮かんでくる)、詮索癖(例:全ての言葉の意味を完全に理解できなければ本を読み進めることができない)、計算強迫(例:物の数を数えずにはいられない)などがあります。
治療
強迫性障害の治療には、薬物療法と精神療法・心理療法(カウンセリング)があります。薬物療法は比較的有効ですが、一方ではその効果には限界もあります。対人関係に関わる課題については、薬物療法とあわせて心理的支援を取り入れることが検討されることもあります。
薬物療法
薬物療法では、抗うつ薬(SSRIなど)が選ばれることが多いです。効果が十分でないときは、少量の抗精神病薬に変更することもあります。また不安が高いケースでは、抗不安薬を併用することもあります。
薬に対する過度な期待、あるいは薬に対する過度の不安を抱いている場合には、こうした気持ちについてもきちんと話し合うことが、治療を進める上で大切です。

精神療法・心理療法(カウンセリング)
強迫性障害の方は、幼い頃から自然な気持ちや行動を過度に抑えるように親から躾けられて育ちます。親の期待する「良い子」であり続けるために、懸命に自分をコントロールしようとするうちに、完全主義的で強迫的な性格になります。しかし、その後の人生の中で、万能的な自己イメージが脅かされる場面に直面して、これまでのやり方では対処できなくなると、不安を解消しようとして強迫症状が生じるようになります。
強迫性障害の方は、症状をコントロールできずに密かに悩んでいても、治療を受けることをためらうことがしばしばあります。他者に援助を求めたり、弱音を吐くことは、恥ずかしいことだと思っているからです。自分の素直な気持ちを出すと、相手を傷つけるのではないか、怒らせるのではないかと恐れます。また、抑えていた感情を爆発させることもあります。
カウンセリングを通して、こうした対人関係の問題についての理解を深めることも選択肢の一つです。
